絵付けテクニック

ポーセリンペインティング【蓋つき壺の制作手順】主に色付けと金彩

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上絵付け、ポーセリンペインティングのキャンバスとなるのは、真っ白な白磁器です。白磁器にも形はいろいろ。凹凸やもともとのエンボス加工や大きさを見て、どのようなデザインにするのかをまず決めなければ、絵付けの作業に進めません。この「デザインを考える」というポーセリンペインティングの第一工程で、私の場合はかなりの時間を要することが多々あります。

気に入ったデザインの白磁を見つけたけれど、さぁどんなデザインにしましょうか…?一番頭を悩ませるところ。紙や本物のキャンバスと違って、白磁器に絵付ける場合の良いところは、「絵」以外の部分に金彩加工を付け加えられることが醍醐味ではないでしょうか。色や金彩を加えることによって、ただ白い背面に絵があるのと、周りに色や金があるのとでは見た目にもかなり印象が違ってきます。今回は、私の作品から【色】や【金】にフォーカスして制作手順を綴ってみました。

白磁を見てデザインを考える

白磁状態でかろうじて1枚だけ撮っていたものが上の写真です。雑多なテーブルの上に何も考えず撮ったものですみません。。今回は中央の蓋つき壺です。全長は48cmほど。アメリカへ行ったときに見つけてお持ち帰りしたものです。この壺は、蓋部分、胴体部分、脚部分と3つのパーツに分かれていて、写真の白磁の時は、3つのパーツをただ積んで置いている状態です。

もし色を使うなら、どこに何色を?金彩をするならどこにするのか?・・など白磁をみながらじっくり考えます。何の絵を描くかはまだ二の次だったりします。

 

最初の工程【色をつける】

今回は、蓋、胴体の外側、足元の中央部分に紺色を付けることにしました。

胴体の白磁を残す部分は、トレーシングペーパーを折り紙のように中央で折り、適当な形に鉛筆で曲線を書いて作ります。作った型のラインがくるあたりに太目のマスキングテープを先に貼り、上から作った型を写し、写したラインをカッターで切りこみを入れて、ラインの外側のマスキングテープをはがして色をつける、そしてテープをはがすと上の写真のようにできます。ラインは少々がたがたになっても、最後に金彩で隠れるところなので、気にせず進めます。

淡い色なら1回でもしっかり色が付きやすいですが、濃い色の場合は、焼成して再度また色を付けるつもりで、2回の色付けをした方が仕上がりがきれいです。

上絵の具はブルーと少量のブラックを混色して紺色をつくり、速乾水溶性メディウムで練りスポンジでたたいて色をつけます。

さくら
しかし今回、小花つながりのガーランドを足したくて、こちらを先に描いてから色を付けて一回目の焼成をしました!

参考

絵の具の5分の1ほどフラッキスをプラスして溶いた絵の具をパディングすれば、ほんの気持ち程度ツヤが増します。

 

2回目の工程【絵付けと色つけ】

2回目の工程では、先にメインの壺の両面に絵付けをします。ついでに先に描いていたガーランドの2回目の絵付けも施します。

もも
両面に絵を描く時は手が触れないよう気を付けて描こう!

それから紺色の部分を再度また色を付けます。2回目の色付けは、マスキングテープをせず、そのままラインにそって、筆で色を付けます。絵付けをした絵と境目が近いので、絵に紺色がかからないよう慎重に紺色の筆塗りをします。一回目の色付けでは速乾水溶性メディウムを使いましたが、2回目は、絵を描く時と同じ遅乾性油性メディウムを使って筆塗りします。

そして二回目の焼成をします。もちろんですが、この時点では、蓋・胴体・脚部分はくっついていませんので、3点を必ず別々に離して置いて焼成をしますよ。

 

3回目の工程【マスキング】

3回目の工程で、まず最初にするべきことが、ガーランドのマスキングです。この時点でガーランド部分は2回絵付けして仕上がっている状態なので、マスキングリキッド(赤色)を使って絵の部分を細かくしっかり覆っておきます。なぜなら、この上から色をかぶせたいから。

思い付きですが、この上から全体に使った紺色ではない別の色を付けてツートンにしてみたくなりました。あまりツートンの色付けは大きな白磁ではしたことがなかったので冒険でしたが、上から好きな水色をかけてみることにしました。速乾水溶性メディウム+水色でスポンジたたき。

そして、胴体メインの2回目絵付けを両面に施し三度目の焼成をします。ちなみにメイン絵付けの余白にはメタリックのアンティークゴールドを筆塗りして余白を埋めました。

 

4回目の工程【金下盛り】

4回目の工程では、金彩の下準備である金下盛りを施していきます。その前に、3回目になるメインの絵付けを先に施しておきます。

前回、水色を塗った部分にもたくさん金彩をする予定。金彩の柄は、いつも思い付きです。四分割になる一カ所の模様をつけたら、それを見ながら残りの三カ所をまねして施していく手順です。四分割の印付けや下絵には、青の油性マジックで直接適当に下絵を描いて金下盛りを施していきます。

金下盛りは地道で大変な作業ですが、やりだすと夢中になる楽しい作業でもあります。ざっとマジックで下描きしたところへ金下盛りを施しました。写真がないですが、もちろん蓋と胴体にもそれぞれ金下盛りをします。

さくら
金液をじっさい塗るときはどこまで塗るかを見極めながら金下盛りを施そう!

金下盛りの道具

 

左写真は、今回の蓋つき壺より前に制作していた小型の花器ですが、同じように金下盛りを施しているところです。

薄い黄色をした金下盛り剤は調合油で程よく盛り上がり、角が立たない程度の硬めに練ります。講師の方により様々だと思いますが、私の場合は、ドットや短いラインには、しなりのあるシリコン製のピックの先を使っています。オタマジャクシ型のストローク盛りをするときは、毛先が細く長くしなる筆が描きやすいです。(描くというより、置いて伸ばす感覚!)

四度目の焼成は、前回4回目までの800℃より少し下げて780℃で焼成。

もも
金下盛りをしたときは、よ~く乾かしてから窯入れしよう!

 

5回目の工程【金彩】

金彩例として焼成後の写真になりますが、先に作っていた小型の花器と結果セットのような感じになった今回の蓋つき壺。

金下盛りもやりすぎると、全部金で覆わないといけなくなるのでほどほどが良いかと思います。しかし、金彩の作業をしている時は想像つきませんが(焼成前の金液はこげ茶色)焼成後の金色というのは、やはり豪華な感じがして私は好きです。蓋つき壺の一番下の部分は、金下盛りをした上から、全体的に金をベタ塗りにしています。金はマット金19%が私にはマストです。

最終の絵付けと一緒に金彩をする場合は、ある程度の温度である780℃は必要ですが、金彩のみで焼成するなら、金下盛りのひび割れを防ぐためにも、もう少し温度は下げたいところです。

さくら
最終焼成が金彩のみの焼成温度は650℃~700℃でOK!

 

蓋つき壺の制作手順のまとめ

今回は、絵付け以外の色付け金彩についての制作手順についてまとめてみました。何色をどこへどのような形で付けるか、金彩のデザインをどのように施すかで、仕上がり具合と出来上がった時の印象は同じ白磁であってもかなり変わってくると思います。メインの絵はもちろんですが、色と金のデザイニングってかなり重要な部分です。

そして、この蓋つき壺は3パーツに分かれていたため、最後の焼成後に陶器用のボンドでくっつけて出来上がりです!後からボンドでくっつけて出来上がる白磁ってあまりないと思うのですが、他にはコンポートの脚部分と上皿をあとからくっつける事があります。

ポットの蓋をはめたままのポットや、ソーサーに乗せたままのカップなどをそのまま焼成すると、ひっついて二度と外れないことになりますが(←やってはいけないミス)今回の場合は、重ねて焼成すると不安定なので必ず離して焼成し、そのあとにボンドでくっつける方が無難です。

今回のように濃いめの色をきれいにつけたい場合は、手間ですが焼成を挟んで2回、同じ色を重ねると良いです。2回目の色は筆で絵付けと同じ遅乾性のメディウムを使いますが、今回の壺のような立ち物は、よく乾かしてから焼成しないと焼成中に絵の具が垂れる可能性があります。絵の具が垂れて焼き付いたら大失敗になります。そのようなことのないように、よくよく乾かすか、キメの細かいスポンジで軽くパディングしましょう♪

金彩についてをメインに綴ってきたので、絵付けの工程は端折っておりますが、メインの絵付け画面はだいたい手のひら大のスペースが両面。このスペースに花の絵付けをするだけでもかなりの時間を要しました(汗)。時間をかけて作成した分、出来はどうであれ、愛着のわく作品となりました。

【2018年10月制作作品】

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