絵付け基本

扱いづらい!?レッド系の上絵の具について

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ポーセリンペインティング、チャイナペインティングと呼ばれる白磁器絵付けで使う、上絵の具の【赤系の絵の具】について記述をしてみます。

上絵付けに携わり、上絵の具を扱ったことがある方ならご存知かと思います。【レッド】という色は、他の色と比べて少々扱いにくい印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。私も「レッド」という色に対しては、そのような印象を持っています。特に混色、焼成において気づかいの必要な色です。

レッド以外にも赤系の色はありますので、私個人の実験結果を踏まえての上絵付け専用絵の具【レッド】という色についての記述です。

混色不可のアイアンレッド

レッド系の上絵の具はメーカ―にもより何種類かありますが、水彩絵の具やアクリル絵の具のレッドのような、いわゆる”真っ赤な色”というものが絵付けで使う上絵の具の中には、なかなか思うような色が見当たらないのが事実です。

 

 

上絵の具のレッドという色は、「アイアンレッド」とも言い、鉄系の成分からなる色で「鉄赤」とも言います。鉄系の色は他にもブラウン系の茶色やチョコレート色など。なんとなく鉄のサビのような色合いを連想させる色です。上の写真のようにレッドという色は、いわゆる真っ赤な色とは違う系統の赤色です。

このアイアンレッド(鉄赤)は他の絵の具との混色を出来るだけ避けるべき色です。上絵の具の注意書きにも混色不可と記載されている色です。(同じ鉄系の茶系色とは混色可能)

 

アイアンレッド以外の赤系の色

上記 私の作品より、赤いチューリップに使った色は「ブラッドレッド」というドイツHERAEUS社製の上絵の具シリーズのものです。写真の色と実物の色は微妙な違いはありますが、アイアンレッドとはまた違った深く暗い赤系の色です。(以前あったサンアートという上絵付け会社で販売されていましたが、会社がなくなり現在は販売されていなくて残念です。)

赤系の色の難しいところは、焼成回数や焼成温度によって色の出方が変わってくるところです。ですので、焼成後に窯から取り出すときはいつもドキドキだったりします。

この「ブラッドレッド」に関しては、1回目の焼成では塗った時とほぼ変わらない色で仕上がりますが、続けて焼成を重ねるうちにだんだん茶系に傾いてくる傾向があるようです。ですので、絵の具本来の色を出したい場合、最後の焼成前だけに使うか、焼成回数が多くなりそうな作品の時は、1回目と最後の絵付けのみに使うと絵の具本来の色を出せると思います。

上記の私の作品の赤に関しては、焼成回数が多かったため、本来の色よりも茶系に傾いてしまったことが反省点です。

 

上記も私の作品からの例になります。同じく「ブラッドレッド」をネイルの色に使いました。この時も焼成回数が多くなる予定の作品でしたので、赤を使ったのは、1回目と最後の絵付けのみにしました。すると本来のブラッドレッドの深く濃い赤を出すことが出来ました。

例として、手持ちのブラッドレッドでの説明でしたが、他の赤系の色も出来るだけ焼成回数は多くなりすぎない方が良いと言えます。

赤系同士の混色

赤系同士の混色は出来るのか?厳密にいうと、単体で使った方が失敗はないと言えます。しかし実験として混色が可能かどうかやってみました。

アイアンレッド以外の手持ちの赤系を混色してみました。特に難なく焼成後も大丈夫でした。私の場合は、マロンと混色して使うことが多いです。一応テスト焼成して様子を見てからお使いすることをお勧めします。

赤系以外の色と混色する場合、イチゴやリンゴなど赤い実ものを描く時は黄色系と赤系を一緒に使うことが多いですが、黄色と赤色(特にアイアンレッド)では、赤色は黄色に負けてしまい、焼成後は2色かぶさったところは、黄色だけが残って焼きあがってしまいます。ですので、出来れば色かぶりせずぎりぎり離して使うか、もしくは、先に黄色の部分を描いておいて焼成後、2回目の絵付け以降に赤色だけを使って描くと良いでしょう。

 

絶対使うことのないセレンレッド

赤系絵の具に「セレンレッド」という鮮やかな色がありますが、上絵付けの作品には(私の場合は)まずセレンレッドは使うことはありません。絵付けは筆でグラデーションを取りながら描くので、淡い~濃い色を出しながら描きます。しかしセレンレッドは、淡くぬった部分は、ややグレー寄りに焼きあがってしまい、濃い部分は焼き飛んでしまい、全く赤ではなくなってしまいます。これは、セレンレッド特有のセレニウムが含まれた絵の具なので、グラデーションにならずに均一の色で塗りたい場合には適しているかもしれませんが、「筆で描く」時には使いづらい色と言えます。また、セレン系は混色することも出来ませんし、焼成後にも気を使う色なので食器などで食品や口が直接触れる部分には使うことを避けるべき色です。

 

使い勝手の良い赤系絵の具

厳密に赤という色ではないですが、赤系のものを描くときや、ベタ塗りをするときによく使う色が「マルベリー」という絵の具です。イチジクのような赤系の実ものや赤いベルベッドを表現したいときに頻繁に使う色です。単体だと少し暗めの色なのでマロンと混色して少し明るい色身を作ってよく使っています。

陶画舎さんの絵の具で一時期、購入することが出来なくなりましたが、現在はウツワトエツケさんで購入することが出来るようになり嬉しく思っています。

 

まとめ

赤い実物などには欠かせない赤色絵の具について、私の経験上のことを述べてきましたがいかがだったでしょうか。赤色は使い勝手の悪い色という印象を払拭できるように、特に混色で使う場合は、ご自身でテスト実験してみてから使ってみると良いと思います。きれいな色で絵付けには無くてはならない赤系絵の具。ひと昔前よりはずっと色も豊富にもなりましたね。焼成温度や混色するときなど、ご自身がお持ちの赤色は何系の赤色なのかを確認し、まずはテスト焼成してから扱うことが大切だと思います。

 

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